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みんな大好き、くろんぼ人形!
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こけし人形の中でも、とりわけ一般的人気が高い「クロンボこけし」です。
どうして、クロンボがこんなに人気あるのか、実は不明で、普通のこけし人形は集めなくても、クロンボこけしだけはたくさん持っているというクロンボコレクターもいるそうですから、なかなか奥深い感じがします。

まずは、貝殻細工のクロンボこけし。
一口にクロンボこけしといっても、そのスタイルは様々なものがあるようですが、割と一般的な特徴として、「帽子を被っている」「「ピアスをしている」「カラフルなものが多い」みたいなものがあるようです。
逆にいうと、これらの特徴が、昭和30年代の日本人が抱いていた、ステレオタイプな黒人デザインだったと考えることができるようです。

貝殻を利用するのも、こけし人形のパターンのひとつですね。
海があってもなくても、観光地のお土産には貝殻が使われていたりします。

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こちらも、貝殻利用パターンです。
ボッティチェリの「ビーナスの誕生」のごとく、2枚貝の貝殻の上に2体のクロンボこけしが乗っています。
ボディがサボテン状になっているのは、ちょっと不明。

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もちろん、北海道にもクロンボこけしはありました。
写真は洞爺湖のお土産こけしです。
もっとも、洞爺湖のお土産といっても、日本のどこかの工場で生産されたものが洞爺湖まで流れてきているだけのもののようです。
そうでなければ、洞爺湖に黒人というのは、あまりにもアンバランス。
でも、昭和30年代、当時はこうしたアンバランスが日本中で普通に見られていて、それが全然違和感を持っていなかったということが、実は大切なことのような気もします。

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これは、すごくお気に入りのクロンボで、ヤリを持っていると、いかにも「人間喰ってやるぞー」的な雰囲気を漂わせています。
もちろん、当時だって食人風習なんて既になかったと思いますが、昔のものから伝わる雰囲気というのは、おもしろいものです。
ボディのデザインもアートチックでステキです。

藤子不二雄の「オバケのQ太郎」が復刻できない理由には、様々なものが推測されていますが、その一説に、「オバケ連盟」のお話の中にクロンボオバケが登場しているからというものがあるそうです。
「バケ喰い」と呼ばれるヤリを持ったオバケは、「喰っちまえ!」と発言するなど、なかなか良い味を出しているキャラクターなのですが、黒人キャラクターに敏感になりすぎている日本市場では発行できないというのが、その根拠らしいのですが、まー、だったらそのお話だけカットすればーとか言われそうなので、どうかな?という感じはしますね。

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最後は「宮崎」の表示があるおみやげクロンボこけし。
表示といっても、小さなスタンプがポンと押してあるだけです。
現地加工ですね(笑)

無人島にたどり着いた2人という雰囲気を漂わせていて、なかなかリアルです。
派手な装飾がないというのも、現実感を高めていますが、装飾が少ないのは値段の関係だったのでしょう。

「オバQ」のところでも書きましたが、一昔前の日本では言論統制の如く言葉狩りが日常的に行われていた時代があり、ジャーナリズムは積極的な自主規制により、多くの文化を矮小化してしまいました。
黒人に対する差別だとの指摘を受けて、多くの作品が闇に葬られることになったのも、つい最近のことなのです。
そんな社会情勢の中で、昭和の時代に大量に生産された黒人スタイルの人形は、非常に「禁断の匂い」を漂わせていて、そうしたタブー的存在感が、一部のマニアックな人たちに受け入れられることになったのかもしれません。

もちろん、昭和30年代の時代に、クロンボがブームになった理由はそういうことではなく、もう少し変化に富んだ社会的要因があったものと考えられます。
この辺りは、次回のクロンボコーナーで、またお話しましょう☆
by kels2007 | 2007-01-13 09:49 | 南国テイスト