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こけし☆メッセージ
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僕はスクラップブックが好きです。
なんて書くと、最近流行のオシャレなスクラップブッキングみたいなものを連想しちゃうかもしれませんが、僕が好きなのは昔々に作られた、新聞なんかを切り抜いて貼りつけた、あのスクラップブックです。
昔の印刷物には味のあるものが多いのですが、それが1冊のノートブックにごちゃごちゃと貼りつけられているだけで、時代のリアリティは大きく増します。
時には、スクラップブックの作成者のメモ書きなんかがあったりすると、そのスクラップブックは、まるで作成した人の魂が込められているような、そんな息吹を与えてくれたりするのです。

僕が「お土産こけし」に魅せられた理由のひとつに、「こけし」に残されたメッセージがありました。
古いお土産の「こけし」を裏返すと、底面に日付や短い言葉などが書き込まれたものに出会うことがあります。
当時の人々は、旅のお土産に「こけしむを買ったりもらったりすると、マジックペンなんかで覚え書きを書き込んだりすることが珍しくなかったようです。

たとえば、写真は「1962.5.25 箱根修学旅行にて」と記載されたもの。
この覚え書きがあるために、この「こけし」は昭和37年に修学旅行生が箱根で買ったものだということが分かります。
他のお土産であれば、こんなふうに記録を付けたりすることはなかったのでしょうが、これが木で作られた「こけし」であったために、このようなメモ書きが可能だったのだと思われます。

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続いて、「昭和32年3月18日 眞智子さんより」と書かれた「こけし」です。
この「こけし」の持ち主は、きっと男性だったのでしょう。
そして、眞智子さんは彼の恋人だったのかもしれません。
あるいは、男性が一方的に思いを寄せる女性だったということも考えられます。
少なくともこの「こけし」から感じることができるのは、この「こけし」の持ち主が眞智子さんに対して抱いている、ほのかな愛情みたいなものです。
好きな女の子からもらったお土産こけしに、男性はきちんと大切な人の名前を書き込んだのです。

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もうひとつ、「1月4日 白馬スキー場 西島武士さんより」と書かれた「こけし」です。
男性の名前に「さん付け」していることから、相手の西島武士さんとは友情関係にある間柄ではなかったと思われます。
お土産をもらった人は女性、相手はもちろん男性で、職場か大学の先輩みたいな人だったのではないでしょうか。
関心のない人間からのプレゼントに、きちんと覚え書きをする意味はあまりないと思いますから、この短い文章には、やはりある種の特別な感情が漂っているような気がします。
日付から考えると、正月休みか冬休みに、一緒に白馬スキー場まで旅行に行ったのでしょう。
二人きりだったのか、仲間達で行ったのか、それは分かりません。
一緒にお土産屋さんを見て回っているうちに、彼がこの「こけし」を買ってくれたのでしょう。
二人がこの後どうなったのか、それは知る術もありませんが、少なくともこの「こけし」が持ち主の手に渡った瞬間の淡い恋心みたいなものだけが、「こけし」に残された覚え書きと一緒に永遠に閉じ込められているのです。

僕は、「お土産こけし」を見つけるたびに、必ず「こけし」の裏側をひっくり返しては、そこに何かのメモ書きがないかどうかを確かめることにしています。
そして、そこにマジックペンで書かれた小さな文字の書き込みを見つけると、思わず嬉しくなってしまうのです。
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by kels2007 | 2007-01-27 21:33 | こけし人形